商品番号:4049
伊砂久二雄作 型絵染め 訪問着
商品詳細
仕立て上がり品
身丈肩 165cm 裄 68cm 袖丈 49cm 前巾 25cm 後巾 30cm
乳白色の地に、橙や紅色の濃淡を用いて、連なる冬の木々に夕日が差し込むような情景を描いた、儚さの中に温かみを感じる落ち着いた風合いの訪問着です。
※サイズに関して、多少の誤差はご了承ください。
地色:
乳白色 黄みの白
※書籍版「定本 和の色事典」にて色合わせを行っております。リンク先の色と実物は異なる場合がありますのでご注意下さい。
伊砂利彦
伊砂利彦さんは、1924年、京都市の3代続く友禅の糊置き業を営む家に生まれ、美術学校の彫刻科を卒業後に海軍航空隊に入隊されました。復員後、絵画専門学校を卒業され家業に従事されていた中、陶芸家・富本憲吉氏の「模様より模様を作らず」という言葉に感銘を受け、自然の移ろいからリズムとパターンを掴み取ることを目的として、山野をめぐり、熱心に写生を行われました。そこから得たイメージは、型紙を刀で切り出した鋭いフォルムへと転じ、〈松〉、そして〈水〉の連作へと展開していきました。
1970年代の初め、伊砂利彦さんは、あるピアノ演奏会で感じた「演奏された音がはっきりとしたタッチで、何かものの形になって体に飛び込んでくる」体験から確かなパターンを抽出し、そこから自律的に生成する文様の創造を試み、「音楽」という主題を得られました。また、同じ型を繰り返す構成も増え、よりリズミカルで抽象的な印象をもたらすようになります。
1980年代に入ると、折々の生活体験を表現した作品を創作されました。長唄の唄い手という立場から発した〈道成寺〉、沖縄赴任にはじまった〈鎮魂歌〉など、作家の内面に沸き立つさまざまな想いを文様というフォルムにおいて迸り出されました。色彩に鮮やかさと力強さが加わった新たな世界観を創作されました。
こうした経験から得られた感性は、松、水、音楽や海などをテーマとした作品の創作に繋がっていきました。
伊砂利彦さんは、富本憲吉氏が主催の稲垣稔次郎氏が牽引する新匠会で活躍され、蝋纈染から型絵染へと表現技法を変化させ、自然の観察と写生を大切にしながら革新的な作品を発表し続けてきました。
型染の制約から生まれるシャープなフォルムとリズミカルな構成に着目したそのモダンな作風、型のリズムから音楽が奏でられるかのような創作性に富んだ創作性は、染織界のみならず、多くの美術愛好家からも高い評価を得ており、今なお多くのファンを虜にしています。
伊砂利彦さんは2010年に永眠されました。
型絵染め
型絵染めとは伝統的な型染と異なるもので、1956年(昭和31年)に民藝運動でも有名な人間国宝 芹沢銈介氏の技法が重要無形文化財に指定された際に初めて使用されたものです。
型絵染は、模様の下絵を渋紙という丈夫な和紙にはり、その上から彫って型紙を作ります。
図柄以外の余白部分を切り落とし、できた型紙の上にくり返し糊を置き、連続した模様に合わせて色をさし、染める方法のことです。
図案を起こすところから染色を終え、糊が流されるまで、型絵染は数多くの行程のほとんどを一人で経て完成するものですが、長い染色史の中で各工程の職人たちが技術を磨き、型絵染文化を高めてきました。
作家独自の世界観、絵画的表現を追求する独創的な作品は、緻密で繊細な紋様を描き、型の持つキレの良さや鋭さ、くり返しの模様のおもしろさが見所です。
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