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商品番号:4323

煮綛 芭蕉布 男着物

商品詳細

仕立て上がり品

身丈肩 149cm 裄 68cm 袖丈 49cm 前巾 26cm 後巾 31cm

渋みのある煤色の地に、細い経柄に濃茶の模様を配した、端正な景色が広がり自然からいただいたお色が表情豊かな、独特の張りとひんやりとした手触りの煮綛 芭蕉布 男着物です。

※サイズに関して、多少の誤差はご了承ください。

地色: 煤色 
深く渋い橙

※書籍版「定本 和の色事典」にて色合わせを行っております。リンク先の色と実物は異なる場合がありますのでご注意下さい。

芭蕉布

芭蕉布は、とんぼの羽のように透けるほど薄く、張りがあり、さらりとした肌触りが特徴で、「幻の布」と呼ばれる沖縄の織物です。

芭蕉布の歴史は古く、12〜13世紀ころから織られていたと考えられています。
芭蕉布は、琉球王国の時代から、その着物を身につけた他、最上の貢ぎ物として重宝されてきました。
また、風通しの良い生地は、高温多湿の沖縄での暮らしを快適にし、庶民の着物としても、普段着から晴れ着まで場所を選ばず着用されてきました。
「民藝運動の父」と呼ばれる柳宗悦も、芭蕉布に魅せられたひとりで、普段着として用いられる日常的な存在が、そのまま美しいものであることの素晴らしさを讃えました。
第二次世界大戦を経て一時衰退しましたが、
民藝運動家で染織家の外村吉之介氏に師事し、民藝や染織について学んだ平良敏子さんの尽力により、沖縄が日本に復帰した1972年に芭蕉布は県の無形文化財に、また1974年には「喜如嘉の芭蕉布」の名で国の重要無形文化財、経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定されました。また2000年には、平良敏子さん自身も国の重要無形文化財「芭蕉布」の保持者 (人間国宝) に認定されました。

芭蕉布は、沖縄本島の北部に位置する大宜味村の喜如嘉を中心に、バナナ (実芭蕉) の仲間である糸芭蕉の繊維を用いて作られ、糸芭蕉の栽培から生地の仕上げまで全てを地元で手作業で行う稀有な工芸品です。

糸芭蕉は、3年ほどかけて人の背丈を超える大きさになるとやっと採取可能な状態になりますが、外側は暖簾や座布団などの材料に、その内側は帯に、着物には一番内側の真っ白でやわらかな繊維を用いて、さらに糸の質感によっても経糸と緯糸とに選別されていくため、1本の糸芭蕉からとれる繊維の量は20グラム程度と、ごくわずかで、着尺1反分には約200本の原木が必要と言われます。十分な糸を確保するには、手間を惜しまぬ畑の管理が必要であったりと、大変時間と手間をかけて制作されています。
芭蕉は乾燥に弱く、すぐに切れてしまう特性があるため、製作に最適な季節は梅雨時とされ、約2ヵ月かけて1反を織り上げます。

1.糸芭蕉の栽培、2. 苧剥ぎ、3. 木灰汁で原皮 を煮る、苧炊き、4.水洗い、5. 苧引き、6.乾燥、7.チング巻き、8. 苧績み、9. 緯管巻き、10. 撚り掛け、11. 整経、12. 煮綛、13. 絣糸の組み合わせ、14.絣結び、15.染色、16.絣解き、17. 糸繰り、18. 仮筬通し、19.巻き取り、20. 綜絖通し 、21. 筬通し、22. 織り、23. 反物の洗濯(最後の仕上げの約12の工程)
までの美しい過程を経て作られる芭蕉布。

芭蕉布が出来上がるまでには23の工程がありますが、そのほとんどが糸づくりに関わるものであり、織りの工程は全体の1%ほどしかないため、糸づくりにどれだけ手がかけられているか分かります。

糸芭蕉を育てる畑仕事に始まり、葉柄を剥ぎ、そこから繊維を取り出し、コツコツと糸をつくり、撚りをかけ、絣を結び、染め、織り、仕上げまでの一つひとつの手仕事の重なり、人が自然と向かい合って生まれる美しい布には、人を癒す力が宿ります。



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