商品番号:4546
千葉まつ江作 正藍冷染 九寸名古屋帯
商品詳細
仕立て上がり品
長さ 373.3cm 巾 31cm
ふわりと咲開く花を浮かび上がらせるように染め上げ、初夏の限られた期間のひとときの藍の美しさを留めた、洗練された藍の美しさと素朴な味わいが長閑かな心地良さを生む千葉まつ江さん作 正藍冷染 九寸名古屋帯です。
※サイズに関して、多少の誤差はご了承ください。
地色:
青黛 深く渋い青
※書籍版「定本 和の色事典」にて色合わせを行っております。リンク先の色と実物は異なる場合がありますのでご注意下さい。
千葉まつ江
千葉まつ江さんは、18歳で千葉家に嫁ぎ、義理の祖母と義理の母から正藍冷染(しょうあいひやしぞめ)を学ばれ、2010年に県の無形文化財指定されました。2017年には、技法の体得が認められ「旭日双光章」を受章されています。
正藍染の染色法は、日本では室町時代(15世紀)に始まったとされる藍を自然発酵させる「蒅(すくも)法」で得られた色素を用いる建染で、人工的な加温を行わずに染めることから「正藍冷染」と称されています。
天然の藍に熱を加えず、常温で発酵させて染料に使う「正藍冷染」は、栗原市栗駒の千葉さんの工房で代々受け継がれてきました。
一般的な藍染めが、蒅を仕入れて、発酵加減を加熱して、年中染められる一方で、「正藍冷染」は、藍の栽培から自然発酵、染めるまでを一貫して行い、染められる期間は、初夏のほんの少しの期間のみとなります。この「正藍冷染」は、日本最古の染色技術とされています。
ただ染めるだけではなく、藍の種を蒔き、藍を育て、収穫し、藍玉をつくり、藍建てし、織る、染める。この一貫した作業は、とても手間ひまがかかると同時に、数年ではなかなか身につかない技術でもあります。
明治から大正時代にかけては、栗原市内でも藍染めをする家庭がありましたが、昭和20年代には千葉家のみになったそうです。
昭和30年には、『正藍冷染』が貴重な技術であることが認められ、初代・千葉あやのさんが国の重要無形文化財技術保持者(人間国宝)に指定されました。その後も2代目・千葉よしのさん、3代目・千葉まつ江さん、そして4代目・千葉正一さんへと受け継がれています。大変貴重な染色技術は、栗原市栗駒の千葉家の女性によって受け継がれてきました。他の地域では絶えてしまった技術を守り、後世にも残すべく千葉家が継承し、今に至ります。
宮城県栗原市の千葉家に代々伝わる自然の温度で発酵させる「正藍冷染」。
人間国宝に認定された祖母・千葉あやのさんの技法・教えを頑なに守り、忠実に継承されている千葉まつ江さん。
50歳から本格的に藍染めを始め、そこから30余年、義祖母、義母の教えを守り、仕事を続けてこられました。
染めの原料である藍葉の種まきから、反物を染めるところまで、一貫して自らの手で行われます。
春に藍の種を蒔き、夏に染め、秋冬は染めるための準備を進めます。
1年以上の歳月かけて気の遠くなるような作業を重ね、季節と共に変化する気温によって発酵させ、 澄んだ藍色に布地を染められる 期間は、5月末から6月末の1ヶ月の間、1年に1度だけとなります。
4月に藍種蒔きを行い、6月になると、藍を畑に植え直し、8月と9月には、藍葉を刈り取る作業を行い、摘んだ藍葉は天日に干した後、「藍もみ」をして、さらに乾燥させ、1月になると天井裏から乾かした藍を取り出し、冷水でその藍葉を洗いほぐし、じっくりと発酵させてゆく「床伏せ」という工程にうつります。
こうして完成した「すくも 」の固い部分を石臼と杵で叩き、丸めて「藍玉」を作ります。
藍玉が完成すると、気温が上がりはじめる5月を待って、いよいよ(あいだて)」という染水を作る作業がはじまる。藍立は染水を作る大きな桶に、藍玉に楢炭から取った灰汁、絶妙な温度のぬるま湯を加えて「藍立」を行い、「正藍冷染」の作業に入ります。
まつ江さんが藍と向き合う暮らしは、手をかけ、時間をかけて行う自然との共生そのものです。
優しさと強さが共にあるまつ江さんの藍染。
長い年月をかけて染められた藍からは温かみを感じます。
素朴さと藍の美しさが、長閑で和やかな風合いを生み出します。
残念ながら2023年5月23日にお亡くなりになられましたが、洗練された藍の美しさは、今でも多くの人々の心を癒してくれています。
正藍染(正藍冷染)
藍染の中にも、「本藍染」や「正藍染」と呼ばれるものがあります。
正藍染とは、藍の葉を発酵させて作った蒅(すくも)を染料に還元する際に、灰汁(あく)のみで藍を建て、染液の維持に麩や貝灰以外を用いずに染め上げたものを指します。
宮城県栗原市文字地区の千葉家に伝わる「正藍冷染(しょうあいひやしぞめ)」は、現存する日本最古の染色技法で、藍を栽培し、天然の藍に熱を加えず、常温で自然発酵させて染料に使う藍染めの方法であり、草木染めの一種です。現在広く行われている藍染めは、藍瓶を加温して発酵の加減を調整しながら年中染めることができますが、「正藍冷染」は熱を加えることなく、藍の床伏せを行い、自然のままに発酵を促すため、染めのできる期間は初夏のごくわずかな期間だけです。そこが“冷染”と呼ばれる由縁です。
この染色技法は中国から日本へ伝来し、平安時代には確立されたものとなって日本各地で盛んに行われていたものです。しかし、明治に入り、安価で容易に染められるインド藍や人造藍が日本に入ってきたことにより、一気に衰退の道をたどりました。東北地方の農村などでは、大正末期から昭和初期頃まではこの染色技法を使って自家で使う分の衣類などを染める家庭がいくつか残りましたが、昭和20年代には藍染を行う家庭が千葉家を残すのみとなりました。藍を種から育て栽培、原料となる蒅で藍玉をつくり、機織りした麻布を染めるという一貫した作業を自家で行う技術。染織史上でも貴重な技術であるということが認められ、初代の千葉あやのさんが昭和30年に国の重要無形文化財技術保持者(人間国宝)に指定され、さらに勲五等瑞宝章(現瑞宝双光章)を受賞しました。藍染めの世界においての人間国宝は現在でも千葉あやのさん唯一人となっていますが、その技術は2代目よしのさん・3代目まつ江さん・4代目正一さんと受け継がれ、大切に守られています。
※文化財登録では“正藍染”です。“正藍冷染”は千葉家の商標登録です。
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