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商品番号:4460

人間国宝 鈴田滋人作 木版摺更紗 染九寸名古屋帯

商品詳細

重要無形文化財保持者(人間国宝)

日本工芸会正会員

仕立て上がり品

長さ 366cm 巾 30.5cm

柔らかな杏色の地に、木版と型絵を併用して、格調の高さを漂わせるシャープな直線の組み合わせによる幾何学的な模様と葉と実を模した繊細な表情を描き、迫りくるような版打ちのリズムの美しさを生み出し、高貴さを感じられる絶妙な色彩感覚が静かな美しさを表現した、優美で気品豊かで洗練された景色の広がる人間国宝 鈴田滋人さん作の木版摺更紗 染九寸名古屋帯です。

※サイズに関して、多少の誤差はご了承ください。

地色: 杏色 
明るい橙

※書籍版「定本 和の色事典」にて色合わせを行っております。リンク先の色と実物は異なる場合がありますのでご注意下さい。

鈴田滋人

鈴田滋人氏は、木版と型紙を併用する唯一無二の染色手法、「鍋島更紗」の制作技法の研究、復興に力を注いだ父・鈴田照次氏の後を受け、木版摺更紗(もくはんずりさらさ)の研究・錬磨を重ねてその技法を高度に体得し、独自の作風を確立されました。
1985年日本工芸会正会員となり、
2008年には最年少で「木版摺更紗」の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。
小さな型の繰り返しによるその連続・集積の仕方、さらに独特の色遣いにより、木版摺更紗特有の清新な構成的幾何学文様が創り出されます。
約10cm角の木版を全身の力を込めて連続して押していき、染めていくといった作業は想像もできないくらいの気力を要する事と思います。そういったご苦労とは裏腹に優しさと気品があり、見る人を魅了する素晴らしいおすすめの逸品です。

木版摺更紗

「更紗」とは、室町時代後期から江戸時代初期、南蛮貿易などによってインドやジャワなどから舶載された、異国情緒溢れる文様の染め布を指し、この影響を受けて、その鮮烈な印象を模倣すべく、我が国で制作されたものを「和更紗」といいます。その中でも、独自の技法と様式で位置づけられる「鍋島更紗」は、佐賀鍋島藩の保護のもとで制作され、技術・文様共に優れたものときて名高く、その製品は献上品として使われた格調高いものでした。しかし、明治の廃藩置県の後、継承者が途絶えたことで、大正初めにはいったん姿を消してしまいますが、幸いにして、鍋島更紗の「秘伝書」や「見本」など、わずかではありますが貴重な資料が残されていたため、故・鈴田照次さんは、それらをもとに技法の解明と復元に長年力を注ぎ、彫りの深い「木版」を用いて、更紗の線や輪郭を捺印する技法、「木版染め」による方法を推定し、また渋紙を切り抜いた「型紙を利用した色摺り」という2種類の技法による更紗を、「木版摺更紗」として確立しました。
その成果を「木版摺更紗」として発表し、鍋島更紗の独自の技法を今日に甦らせました。息子である鈴田滋人さんは、身近な植物や故郷佐賀の自然を題材として作品を作り、その高度な技術と緻密で洗練された作風で、2008年に重要無形文化財「木版摺更紗」の保持者として認定されました。
木版摺更紗と名づけられたこの技法は、文様の輪郭線等を木版(地型)による摺りで行うとともに、その木版に合わせて彫った型紙を用いて染料や顔料を刷毛摺し、さらに木版(上型)で線描き等を摺り出すという、木版摺と型紙摺を併用する独特の技法による格調高い作風が特徴です。
木版摺更紗は、その独特の技法と美しい模様から、多くの人を魅了する伝統工芸品となっています。
木版摺更紗のデザインは、繰り返し文様による効果をねらったものが多く、着物の場合は一色につき1,000~2,000回ぐらい繰り返します。
色数が増すと、その回数が増えていくため、根気のいる手作業となります。
エゾツゲなどが、彫るのに適度な柔らかさがある木版に適した木材として用いられ、掌大の木材ブロックの木口を凸版に紋様を彫り、墨を用いて白生地に捺染します(=版打ち)。さらに木版の紋様に合わせて、柿渋を浸み込ませた型紙を色ごとに分解した紋様を切り抜き、切り抜いた部分に顔料や染料を直接色摺りしていきます。
さらに、木版による「地形」と型紙による「色摺り」が終わった段階に、赤茶色などの色を木版を用いて版打ちする「上形(うわがた)」という技法を行う場合もあり、それにより墨色の紋様の輪郭や線にさらに複雑な線と色感が加わります。 掌大ほどの小ささの木版を用いて、1枚の着物に、2000回から多い時には3000回という途方も無い回数が、ひとつひとつ全身の力を込めながら、一か所ずつ自身の手で押して捺印していきます。幾種類もの木版があり、また向きも一方向とは限りません。それに加えて、色ごとに分解されて紋様のパーツが切り取られた型紙での色摺りがひとつひとつ行われます。
型から一つ一つ手作業で作られるため、全く同じ模様のものはなく、それぞれの作品から、職人の手仕事による温かみや深みが感じられます。幾何学模様を主体としたものが多く、その規則性と複雑さが美しいコントラストを生み出します。また、多彩な色使いも木版摺更紗の魅力の一つです。染料の重ね方や組み合わせによって、奥行きのある美しい色彩が表現されます。
今日の木版摺更紗は、伝統的な技法を基にしながら、文様やその構成、色調等に創意工夫が加えられ、高度な芸術的表現を可能にする染色技法として高く評価されています。

・染織工程

1.スケッチ
草花や木々を題材にスケッチを行う。

2.デザイン
スケッチからイメージを抽象化・文様化して単位となるデザインをおこし、それから全体を構成し下図を作成する。

3.木版作成
蝦夷黄楊などの木に彫刻して、線を主体とした木版を作成する。通常、2種類の地型とそれに対応した2種の上型を作る。

4.型紙作成
色摺り用の型紙を彫る。木版の大きさを単位とし、色ごとに文様を分解して彫る。

5.生地張り・寸法書き・印付け
版打ち用の台に生地を張り、仕上がりを想定し割り付け寸法を書く。また文様割付のため印を付ける。

6.地型版打ち
文様の輪郭となる地型の木版に墨を付け、文様割付の印にあわせ版打ちする。

7.色摺り
型紙は一模様、一色が一枚。薄い色から順に、色の数だけ刷毛で刷り込んでいく。

8.上型版打ち
通常、色摺りの後に版打ちを行う。地型と異なり墨ではなく紅柄を使う。

9.糊入れ
地染めを行う場合、糊入れ用型紙で、白抜きの余白部分や文様部分にあらかじめ糊入れを行う。

10.地染め
生地全体を地染めする。

11.蒸し・洗浄
地染めの定着のために蒸し、水洗いをして糊を落とす。

12.乾燥・仕上げ
水気を取って張木に張って乾かす。仕上げにアイロンをかける。

日本工芸会

日本工芸会は、重要無形文化財保持者(人間国宝)を中心に、伝統工芸作家や技術者などで組織されている日本の公益社団法人です。現在は、工芸分野重要無形文化財保持者を含めて正会員役1,200名が所属しています。「日本伝統工芸展」は日本工芸会が文化庁とNHK、朝日新聞社と主催する、日本の優れた伝統工芸の保護と育成を目的にした公募展です。昭和29年から1年に1回開催しており、日本工芸の技と美が集結する場となっています。他にも人間国宝を講師とする伝承事業や記録保存などを行うなど、無形文化財の保存や伝承および公開に関する事業を進め、その実績は他に比較するもののない唯一の組織です。



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